12月28日ブログ補足1
12月28日のブログで記述されている平成23年度税制改正に関する下記、記述に関して数件お問い合わせがありましたので、具体例を挙げて補足いたします。
>受取配当等の益金不算入や
>外国税額控除といった、当初申告が適用要件とされていたものが
>廃止になるということ。
今回は、受取配当等の益金不算における当初申告要件の撤廃について、述べます
例えば、税務調査で、別表8の受取配当の益金不算入額の計算において、投資信託(ファンド)の中に、別表8、「29欄」の受益権の帳簿価額に算入しなければならない商品が、発見されたとします(会社は「1欄」の受取配当等の金額にも、当該投資信託商品からの収益分配金を算入するのを失念していることを前提)。
この場合、
「29欄」受益権の帳簿価額が増加⇒「6欄」株式等の帳簿価額が増加
⇒「7欄」受取配当等の金額から控除する負債利子等の額が増加
⇒「12欄」受取配当等の益金不算入額が減少⇒課税所得増加
となります。
ここで、「1欄」の受取配当等の金額が、当該投資信託商品からの収益分配金分だけ増加し、それにより、「12欄」受取配当等の益金不算入額が却って、増加する可能性が高いので、課税所得の増加にはならないのではないかという疑問が生じるかもしれませんが、益金不算入とされる金額は申告書に記載された金額を限度とされます(法23)ので、当初申告において記載しない限り、当初申告後「1欄」の受取配当等の金額を増額させることはできません。
したがって、税務調査で上記指摘をされた場合、負債利子等の額が増加すること
による課税所得の増加のみ受け入れ、修正申告せざるを得なかったのが、現行法の下での処理となります。
これが、12月28日のブログで、記述されている「当初申告が適用要件とされていた」の意味するところの一つであります。
投資信託は、投資対象の構成割合(公社債への投資割合、国内株式への投資割合、外国株式への投資割合etc)により、受取配当額・簿価へ1/2算入か1/4算入か全額不算入かといった取扱いが変わり、
また、運用報告書や商品説明書を見ても、上記どれに該当するか判別しづらいものがあり、証券会社に問いあわせてやっと判明することも珍しくありません。
さらに、最低申込価格が高額(5,000万円〜)であることが多く、投資信託の株式等の帳簿価額への算入洩れが、発覚すると単なる株式の簿価算入漏れよりも、(取引単位が多い分)課税所得への影響額が大きいことが多く、昨年も金融機関のお客様の税務調査において肝を冷やしたことがありました。
平成23年度税制改正案が成立すれば、個人的には、
このようなリスクや不安から開放されるだろうと安堵しております。
今回、一例として、税務調査における場合を挙げましたが、
当然のことながら、更正の請求や修正申告においても、同様です。
そして、更正の請求は、23年度改正案では期限が5年と延びますので、
メリットは重畳的に大きくなります。